2006-01-01から1年間の記事一覧

「聖断」を読む

[読書感想文] 久々のエントリー。 書かなかった間、半藤一利さんの「聖断」を読んだ。今まで、いかに自分が昭和史に対して無知だったのか、よく判った。 読もうと思ったきっかけは、紀子さんのご出産である。ネット上のここかしこで、「男子誕生」に対して喧…

「死者の書」を観る

[映画感想] 鎌倉の「生涯学習センター」でたった一日だけ、川本監督作品「死者の書」(人形アニメーション)が自主上映されたので、家族で見に行った。 ホールの半分程度は埋まっていたが、殆どが年配の方で、小さい子どもを連れているのは我が家だけ。。「…

吾郎監督新作の意欲を語る

[ジブリ][ゲド戦記][映画感想]お聞き苦しいかもしれないが、今日発見した毎日新聞の記事を見て、思わず「ほらね!」と心の中でにやりとしてしまった。私の感は当っていた。毎日新聞の記事:宮崎吾郎監督「新作は人間ドラマを」実は、映画を見た直後の日記に…

ベネチア国際映画祭

[ジブリ][ゲド戦記]ベネチア国際映画祭で「ゲド戦記」上映何だか、とっても嬉しくなった。スタンディング・オベーションを受けた時の、監督やプロデューサーの気持ちはどんなだっただろう。そして、何よりも「よかった。」とほっとしたのが、吾郎監督が初め…

映画のゲド

[映画感想][ゲド戦記][ジブリ]ゲド戦記外伝作者: アーシュラ・K・ル=グウィン,ディビット・ワイヤット,Ursula K. Le Guin,清水真砂子出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2004/05/28メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 14回この商品を含むブログ (57件) を…

ゲド戦記全巻読破

[ゲド戦記][ジブリ][映画感想]お叱りを受けてしまいそうだが、遅まきながら「ゲド戦記」の全巻を読み終わった。 今まで散々書いておきながら「全巻読んでいなかったんかい!」と突っ込みが入りそうだが、言い訳を許して頂くならば、読書に好きなだけ時間を使…

エロスとタナトス

[ジブリ][ゲド戦記][映画感想]おとなり日記リンク先を辿ったら、素晴らしい一説を発見! アニメーションのエロスとタナトス、『ゲド戦記』とりんたろうについて さすが、演出家を目指している方らしく、洞察が深い!私はずっと「ゲド戦記」肯定/支援派だけ…

「火垂るの墓」感想追記とユリイカ8月増刊号

[ジブリ][映画感想][火垂るの墓]ユリイカ2006年8月臨時増刊号 総特集=アーシュラ・K・ル=グウィン 『闇の左手』から『ゲド戦記』まで出版社/メーカー: 青土社発売日: 2006/08メディア: ムック クリック: 4回この商品を含むブログ (10件) を見る「ゲド戦記」…

火垂るの墓を観る

[火垂るの墓][ジブリ][映画感想]火垂(ほた)るの墓 [DVD]出版社/メーカー: ワーナー・ホーム・ビデオ発売日: 2006/07/14メディア: DVD クリック: 17回この商品を含むブログ (16件) を見るずっと避けていたこの作品をとうとう購入した。著作権の関係なのかこの…

THE ART OF TALES from EARTHSEAを購入

[ゲド戦記][ジブリ] やっと、ゲド戦記のアート本「THE ART OF TALES from EARTHSEA」が届いた。 早速、食い入るように眺めているのだが、いつもの事ながら、ジブリの描画力には本当に脱帽する。 自分の話しで恐縮なのだが、これでも美術大学出身で、学生時代…

凛々しい若者

[ゲド戦記][高校野球] ゲド戦記とは全く関係無いが、今日の高校野球決勝戦(再試合)のニュースを観て、早実のエース斉藤投手にとても感銘を受けた。 最後に投げた決め球は、何度見ても「しびれる一球」で持てる才能と気迫がこもるとは、まさにこの事だと思…

グィン女史の感想を受けて。。

[ゲド戦記][ジブリ][映画感想] グィン女史の映画感想がいろいろな形で訳されて、「ゲド戦記」酷評派は「そらみた事か!」と溜飲を下げている風がある。酷評派の動向は、もうこの際どうでもいいのだが、私が引っかかっているのが、グィン女史の「感想」の向こ…

グゥイン女史の感想

[ゲド戦記] グゥイン女史が自身のブログに、ジブリ版「ゲド戦記」の感想を書いている、、、とネットのブログ伝いに知った。私には、原文を読み下すだけの英語力は全く無いので、yahara教授が上手く抄訳して下さっているのでそちらにリンクを貼らせて頂く。 …

ゲド戦記鑑賞記 番外編1

[ゲド戦記][ジブリ][映画感想] お盆休みを利用して夫の実家(九州)へ帰省のついでに、西日本を旅してきました。(津和野、萩、長崎)息子がおたふく風邪を発症してしまって旅の途中で私と息子だけが先に帰ったのが何とも残念なのですが。。。 夏に、西日本…

西洋人にとっての「竜」

12〜3年前に、神話や民話、深層心理学に凝って片っ端から本を読んだ時期がありました。「ゲド戦記」の原作もその時に出会ったのですが、何かで「物語の中で扱われる竜は西洋と東洋では大きく違う。」という学説を(?)読んだ記憶があります。 架空の動物で…

ゲド戦記鑑賞記 その6

[ゲド戦記][ジブリ][映画感想]公開から一週間経ちました。鑑賞してからも一週間。「もう一度観たいな。」という思いと、「関連本も買おう。」という思いと両方あります。(そうそう、原作の5巻、6巻も読まなくては)今日は竜の事なぞ。。

安定した対構造(つづき)

前回は、原作が書かれて来た時間的経緯を取り上げました。3巻までで止まってしまった間、読者にとっての大いなる謎は なぜ、ゲドとテナーは結婚しないのか でした。周囲は、いろいろな解釈を一生懸命したものです。 精神的な高見で結ばれた二つの性には、俗…

ゲド戦記鑑賞記 その5

[映画感想][ゲド戦記][ジブリ]昨日の書きかけの続き。。。

安定した対構造

既に多くの方がお気付きと思いますが、吾郎版「ゲド戦記」では ゲド←→アレン テナー←→テルー の二組の綺麗な対構造になっています。アレンはゲドの若かりし頃を体現し、ゲドはアレンの先の将来像を示していて、この関係はそっくりテナーとテルーの間にもあり…

ゲド戦記鑑賞記 その4

[ゲド戦記][ジブリ][映画感想] この一連の感想文は、バリバリにネタバレしておりますが、これからのエントリーはその度合いが加速してしまいそうです。これから観る予定で、あまり詳しい筋を知りたく無い方は、映画をご覧になった後でお読み下さい。 さて、…

やっと理解出来た「父:高畑勳」

去年あたりから、子ども達と一緒に「母を訪ねて三千里」や「アルプスの少女ハイジ」を観なおしています。実に30年ぶりのはずなのに、映像とストーリーが紡ぎだされると、次々と話の筋と絵柄が思い出されて、自分でも驚きました。それだけ、幼い時に受け取る…

血と肉は宮崎監督から、そして骨格は高畑監督から

こんな事をクドクド私が書くまでも無く、吾郎監督は百も承知だったでしょう。吾郎監督の「監督日誌」を読むと。 「太陽の子ホルス」の様なシンプルで力強い絵にしたい と終始一貫して書いています。過去の先人達の仕事をつぶさに追って行く時に、当然「高畑…

母性の宮崎、父性の高畑

吾郎監督は自身の「監督日誌」の中で両巨頭の事に1回だけ触れています。このブログのタイトルはそのまま、私が付けた見出しの言葉に置き換えられるとも言えるでしょう。 前章で、「駿監督は友殺しをしない」と書きましたが、この事の理由が「駿監督は根源的…

友殺し

昨日あたりから、「高畑勳監督」の事がもの凄く気になっています。その理由は後述しますが、今回の映画「ゲド戦記」を考える上で、同氏の存在は欠く事が出来ないと改めて感じているからです。 私はこの「ゲド戦記感想文 その1」で 駿監督は脇役やトリックス…

ゲド戦記鑑賞記 その3

[ジブリ][ゲド戦記][映画感想] まだまだ、「ゲド戦記」熟成中です。 嬉しいトラックバックを頂いたので、こちらからもトラバさせて頂きます。 小野マトペさん:とても頼もしく「アンチ・ネガティブキャンペーン」して下さってます。私はここまでちゃんと太刀…

原作を超えた秀逸なアレンジ

劇場鑑賞中、これは!と膝を叩いたのは、原作には無いアレンジのうち、クモの城の外で佇む「影のアレン」の存在です。剣を持って追いかけて来たテルーに言います。 「僕は、アレンの中に居た光だ、アレンの中に居た不安はとうとう肉体をさらって行ってしまっ…

矢継ぎ早の質問攻め

映画を見終わった後、パンフレットと角川書店から必ず出ている「ガイドブック」を買ってお昼を食べたのですが、娘からは、矢継ぎ早に質問が飛んで来ます。 何故、アレンもゲドもみんな名前を二つ持っているのか どうして、クモは最後あんな風に膨らんでしま…

やっと娘に答えてやれそうな「死」のイメージへのメッセージ

6歳を過ぎた頃から、娘がしきりと 「死んだらどうなってしまうのか。」 と尋ねるようになりました。 自分にも覚えがありますが、自分と家族以外での社会的つながりが出て来始める頃(小学校低学年)「死」とは一体どんなものなのか、その存在にえも言われぬ…

ゲド戦記鑑賞記 その2

[ジブリ][ゲド戦記][映画感想] 映画館での鑑賞から一夜明けました。 昨日は思い浮かばなかった事が後から後からじわじわと、、心の中に現れてそれをじっくり反芻しています(笑)。 このはてなダイアリーの中でも同じ意見の方々に出会えて、やっとほっとしま…

新人監督にしか出来ないギラギラした瞬間

もう一つ、もしこの作品を駿監督が作っていたら、決してこの表現は出来なかったろうと思うシーンが後半のクライマックスにあります。(以下ネタバレ) 「今のそなたにはその剣は抜けまい。」 ゲドがアレンの持つ「魔法で鍛えた剣」を指してそう言いますが、…