思い入れの強い「ゲド戦記」

この物語を読んだのは、20代前半の頃。有名な心理学者である河合隼雄氏の著書の中でその存在を知り、興味を持ったのがきっかけでした。読み始めたら、たちまち虜です。もっと早くに読みたかったとも思ったけれど、今振り返ればいつ読んでも、その時々に共感出来る部分がある「本当に凄い名著」です。
この物語が映像化されるなら、ジブリをおいて他には無いと思っていただけに、制作発表された時には、心躍る気持ちでした。
でも、正直言ってしまうと監督が、ご子息の宮崎吾郎氏と聞いて最初は「え、それは残念」と思ったのも事実です。ジブリ作品の中で宮崎/高畑両氏以外の監督作品で上手くいった例は少ないし、折角これだけの凄い原作なのに「なぜ?もったいない。」と思いました。
でも、考えが変わったのが、その直後にジブリの公式サイトを訪れた時。有名な広告に使われている「アレンと竜」の絵を観た途端に「ああ、大丈夫だ」と直感しました。鈴木プロデューサーもインタビュー記事でよく言っていますが、絵の持つ力は凄いです。
インターネット時代に積極的に情報を発信し続けたジブリスタッフと、吾郎監督。毎日、かのサイトをチェックしながら、どんな事を考えどんな事に心を砕きながら制作が進んで行ったのか、モニタのこちら側でも共に制作している気分でした。
さて、半年前から公開を期待していた初日。家族(夫、7歳3歳の娘息子)と一緒に近隣の映画館へ向かいました。