1本の電話

[住まいづくり]
二人目育休も、はや6ヶ月。やっぱり二人目は何かと楽だなぁと思いつつ出来るだけこの時間を有意義に使わなきゃと、以前からやりたかった事にいそいそといそしむ毎日。
おかげで、シフォンケーキを焼く腕は上げたし、やっぱり、気に入らないマンションの台所をこの機会にリフォームしようと思い立ち、業者に見積もり依頼。それも出揃って、ほぼ予算内の希望通り。そろそろ、正式発注しましょうかね。と思っていた矢先。。。
滅多に電話をかけてこない夫が、昼の2時に電話を入れて来た。風邪気味だった7ヶ月の息子の様子を聞いた後、「実はさ。。」と切り出して来た話しが、昔上司だった人から、自分の部署に来ないかという、転属のオファーがあった事だった。

「え〜〜!」青天の霹靂。

プロフィールを読んで頂くと判るのだが、私達夫婦は数年の遠距離恋愛の末、夫の勤務地の近くに新居を構え、私は新幹線で都内まで通勤するという生活をずっと続けている。結婚して5年半、その間に二人の子を出産して今が2度目の育休だが、それ以外の期間は新幹線で通い続けていた事になる。

今回のオファーの勤務地先は私と同じ。

すぐに頭をよぎったのは「あ〜、これで片道2時間の通勤から解放される!」待て待て、舞い上がるなぁ〜、話しはコケるかもしれないのだ、とブレーキをかけようと思っても、やっぱり止まらない。

「よく出来るねぇ」「頑張るねぇ」そお言われつつも、じっと我慢で仕事を続けて来たのは、心の何処かで「いつか、転勤で都内に戻るかもしれない」という淡い期待があったからだ。
夫は、元々都内の採用で私と同じ会社の同期入社。付き合い始めたのかなぁ〜、という曖昧な時期に部署ごと今の地域に転勤してしまった。遠距離を理由にそれっきりになってしまうかどうか、そんな感じだったけど、結局、お互いに結婚しようという事になって、私は後から移り住んだ事になる。

結婚後の転勤では無いから、気持ちは前向きで新しい土地でもそれなりに馴染んで楽しく暮らしている。物価は安いし、特に家賃が安い。子供二人もこの地で産んでアットホームな保育園には随分と助けられた。仕事を辞めて、完全に引っ込んでしまうという選択もあったけど、夫がそれには何よりも反対した。
反対するからには手伝いなさいよね!とばかりに、出来るだけ育児参加をさせ、そのおかげで今日まで何とかやって来られたのだと思う。

でも、気持ちの何処かでは、長距離通勤を負担に思っていたし、体に疲労が溜まるのも実感していた。二人目妊娠中は特に辛くて、本当はもう一人欲しいと思っていても、現状の生活では体力的に無理だとも思っていた。

まさに、渡りに舟のタイミングである

ただ、今回の転属先では、夫の職業区分がエンジニアでは無くなってしまう。もちろん、エンジニアとしての知識を買われて、開発と対等に話しが出来る企画スタッフが欲しいという話しだから、今までのキャリアが全く無になってしまうのでは無いのだが、夫には非常にストレスがかかって来る。
とは言え「この生活をずっと続けるのは無理だよ、どちらかが、どちらかに合わせる時がきっと来るね」と常々話していた。

私の方が、今までの専門職のキャリアを捨てて、夫と同じ事業所に転属願いを出すか、そお考えた事も何度かあったが、産休育休で仕事にブランクを空けるというハンディを考えると、簡単に職場を変わる気持ちは、なかなか起きなかった。初めての事は1つで沢山だと思ったのである。

夫と私の根比べで私の勝ちという所か???

今まで、私に負担をかけて来たという負い目がある分、夫も「今回の話しを見送りたい。もうちょっと新幹線で通勤してくれ」とも言い出せず、また、長女は4歳で小学校入学まで1年と少ししかない。教育の事、これから先の事。もろもろを考えると、どうやら決断の時らしい。

こんな背景から、私達の「家を建てるか」ストーリーが始まる。自分達で時期を決めたというより、潮の流れや風向きで自ずと期限が決められてしまった感じだ。